結婚をするまでの私たち夫婦は、学生時代からの付き合いでした。
大学を卒業したら結婚するものだと互いに考えていました。
実際に大学を卒業して、就職。
卒業と同時に結婚しようと私の方から申し込みました。
妻も同じ気持ちだったようでした。
涙こそありませんでしたが、
満面の笑みで「ありがとう」と言ってくれて結婚したのです。
ドラマのような結婚ではありませんが、
それでも私達は幸せな結婚をしたと感じていたのです。
ところが結婚して仕事が始まると、同居こそしているものの、ほとんど両者が家で一緒に過ごす時間は限られていました。
その理由は私が広告代理店で勤務していることでした。
妻は一般事務職として会社に勤務しているので、朝から夕方までの一般的な勤務をしています。
これに対して私は仕事の時間が不安定で、夜中あるいは明け方まで勤務することも珍しくありません。
特に新入社員のころは仕事の要領が悪いので、なかなか帰ることが出来なかったわけです。
今考えるとそんな離れ離れの生活を送っていれば、互いの気持ちが離れていくのも仕方ありません。
そんなある日のことですが、私は偶然仕事がキャンセルになって、久しぶりに昼の3時くらいに帰宅しました。
いつもは午前様が常態化していましたから、何だか不思議な感覚すら抱きます。
時間を無駄にしても何ですから、夕飯の支度でもしようと冷蔵庫を開けるとあまり食材がありません。
そこでスーパーで買い物をして、私が得意にしている鍋の支度をして妻の帰りを待ちました。
ところが夜8時を過ぎても帰ってきません。
仕方がないのでメールや電話をしますが反応なし。
会社に電話とも考えましたが、みっともないので止めました。
いつの間にかテレビを見ながら眠ってしまって、妻が帰宅した音で目が覚めると夜10時を過ぎたところ。
「遅かったね」そう私が切り出すと、妻は「ごめんなさい、それにしても早かったのね。今日は職番の皆と食事会だったの」
そう返した妻の目は、明らかに動揺して泳いでいます。
また妻はお酒が好きなほうなので、食事会ならばお酒を飲むはずですが、全くお酒の匂いや酔った感じはありません。
嘘だとすぐに確信した私は、黙って妻を見つめます。
妻もそれ以上言葉が続かなくて、互いに沈黙の時間が続きました。
その静寂の時間を破ったのは、妻の涙でした。
妻は職場の同僚と関係を持っていると、私に告白して謝罪します。
そして二度と不倫はしないと言うので、妻には会社を退職するように勧めると納得してくれました。
しかし不倫相手をそのまま無罪放免にしておくわけにはいきません。
会社に直接行って不倫を公言することも一瞬考えましたが、流石にやり過ぎでしょう。
そこで弁護士に依頼して慰謝料の請求を行うと、相手もすぐに不倫を認めて慰謝料を支払いました。
ただし妻から聞くと、やはり私の仕事があまりに不規則で、すれ違いの生活を送ってきたことが要因のようです。
そのため私も転職をして、給料は減ってしまいましたが、現在は別の仕事に就いています。
今思うと、妻も寂しかったのだろうとは思いますが、だからといって他の男と関係を持ったことはやはり自分の中でも納得できません。
夫婦関係を修復すると誓ったものの、どこかどす黒い感情が渦巻いたままです。
本当に会社の同僚1人だけだったのか?前科はないのか?
今となっては聞くことはできないですが、さっぱり忘れ去ることもできません。
やっぱり真実を確かめるべきだったのかもしれません。
もしも、もしも次回、妻に怪しいそぶりが見られたら…こちらに依頼すると決めています。
コメント